Case
YKK AP株式会社様
【導入事例】YKK AP様のロジスティクスを支える物流に関するデータの一元管理化を、Sharing Innovationsが支援!
物流の最適化とコストダウンに向け、顧客データや配送データをSalesforceに集約することで情報の標準化を実現

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1分でわかるこの事例のまとめ
建材メーカーの大手であるYKK APの物流領域における本社機能と物流DXを担うロジスティクス部は、物流のDXを進めることで、コストダウンを目指す部門です。その最初のステップとしてそれまで各拠点でエクセルやPDFで管理していた顧客データや輸送業者の情報をSalesforceで一元管理することで、リアルタイムに同じデータが共有できるようになり情報の標準化を実現しました。
お客様の課題(Before)
- 01 8拠点ある国内の物流拠点で、それぞれ顧客データや輸送業者の情報をエクセルやPDFで管理していた
- 02 拠点間の情報の連携がなく、またフォーマットもバラバラだった
- 03 物流の最適化によるコストダウンに向けて、まずは情報を一本化する必要があった
★当社の解決策(After)
- 01 散在していたデータをSalesforceに集約したことで、物流拠点の全員が同じ内容を共有できるようになった
- 02 ダッシュボードの活用により、リアルタイムに同じデータを閲覧できるようになり情報の標準化が実現
- 03 ロジスティクスによる品質管理情報の共有ができる、改善に向けた意思決定をするためのデータをタイムリーに得られる様になった
物流のコストダウンに向けて、分散管理されていたエクセルのデータをSalesforceに一元化し情報の標準化を実現
住居の窓やドアから、カーポートやテラス、フェンスなどのエクステリア、そしてビルなどの非住居分野にも建築用工業製品(建材)を製造販売するYKK APでは、取り扱う商品が大きく、その物流においては様々な工夫が必要です。その物流領域の本部機能であるロジスティクス部は、商品を輸送する物流の効率化だけでなく、倉庫内のピッキング作業をGTP(Goods to Person)の導入により省人化・効率化したり、また物流の2024年問題によるドライバーの不足に対応するためにモーダルシフトの導入などを検討・推進したりするなど幅広い取り組みを行なっています。
物流の最適化によるコスト削減を実現するため、分散したデータの一元管理が必須だった
― YKK APの物流における課題を教えて下さい
(平井様)YKK APは国内にいくつかの製造所や工場を持っていて、そこに付随する形で物流拠点が8箇所あります。東北DC、首都圏DC、九州DC、・・というように全国に散らばっており、各工場で造られている商品をメインに扱うだけでなく、その地域向けの物流拠点としても稼働しています。輸配送業者は100%外部に委託していますが、近年では物流の2024年問題によってトラックドライバーの時間外労働の規制が強化されたことで、モーダルシフトや異業種との共同輸送など、輸送の効率化に取り組んでいます。
YKK APが取り扱う商品は、ドアノブなどの小さなものもありますが、カーポートやテラス、フェンスといったエクステリアや、オフィスビルや商業施設向けのカーテンウォールやサッシなど大規模建築物の建材に至るものまであるため、物流の最適化が重要です。
ロジスティクス部は製造部門と同じ様に、輸送の効率化だけでなく、コスト削減を求められている部門でもあります。それを推進する為には、まず現状の把握が必要で、顧客情報や在庫情報、そしてパートナーである輸送業者に関する物流情報が整備されている必要があります。

[ロジスティクス部 輸送企画課 平井 宏和 様]
― 当時抱えていた課題について、詳しくお聞かせください。
(平井様)当初は、在庫や出荷履歴を管理するWMS(倉庫管理システム)「APOLO」を自社開発している他は、社内の問い合わせ内容や顧客カルテ、日々の実績データや物流関連情報はあるものの、物流拠点ごとにエクセルや紙、PDFで管理されていて、社内に散在している状態でした。さらに業務が属人的になっている点も課題でした。 そこで、輸送の効率化の施策を立てる前にまずは、顧客、輸送業者を中心とした物流に関連する情報を1つのプラットフォームで一元管理し、そこから現状の把握と業務課題を可視化する必要があると考えました。
構造化されていないデータの一元化に苦労した結果、情報の標準化を実現
― Salesforceの初期導入とデータの統合にあたって、苦労した点、困った点などがあれば教えて下さい
(寺様)データは存在するものの、一部は紙やPDFといったものもあり、体系的かつ構造的に整理されていなかったので、それらをどの様に構造的に構築するかで苦労しました。
YKK APならではかもしれませんが、特定の納品先の住所に対して複数の顧客情報がある場合があって、それらを営業が販売管理上使っている顧客データと紐づけする必要がありました。住所は同じだけど顧客名が違うことも多く、名寄せには大変苦労しました。
その際には、Sharing Innovationsにも協力いただいて、どのようなオブジェクトが必要か、各項目をどのオブジェクトに保持すべきかの整理や、データをインポートする際のフォーマットの相談にも乗ってもらいました。
最終的には、[顧客データ][取引先担当者][納品先データ][輸送業者データ][配送情報][納品条件]など6種類ほどのデータをそれぞれユニークなコードを付けてSalesforceに入れました。また出荷実績や運賃の実績については、出荷・倉庫・在庫を管理しているWMS(倉庫管理システム)「APOLO」をSalesforceに連携しました。

[ロジスティクス部 輸送企画課 寺 慧理那 様]
データの一元管理で、関係者間での情報共有が実現!インシデント対策の意思決定にも寄与
― データの一元管理が完了した後の効果を教えて下さい。
(寺様)まずは、Salesforceという一つのプラットフォームを経由することで、それまでバラバラだったフォーマットが統一され、同じ情報を拠点間で共有できるようになりました。具体的には、まだ一部のエリアではありますが、社内の配送に関する問い合わせ状況の情報共有がリアルタイムにできるようになったのは一定の効果だと思います。
またお客様単位、輸送業者単位で、過去にどのようなインシデントがあったのかが一目で分かるようになりました。これによって、それらを分析し可視化したものを関係者間で共有することができるようになり、改善に向けた意思決定が以前よりしやすくなったと思います。これまでは判断を下すための資料の作成作業にそれなりに時間が必要でしたが、簡素化されたことで、アナログ的な作業や属人的な業務も解消されました。
ロジスティクスCRMとして社内外のステークホルダーともつながるデータ基盤に進化させたい
― 今回のデータ基盤をベースとした、今後の展望をお聞かせください。
(平井様)現段階でSalesforceはCRMとしてすでに3箇所の物流拠点に導入されていますが、今後は8つのすべての拠点での導入を予定しています。全エリア横串で情報共有できる基盤を構築すると共に、ガバナンス強化を図って行きます。
また現在取り組んでいる出荷管理&倉庫管理&在庫管理システム「APOLO」との連携も全拠点に展開し、データを活用した輸配送のコストダウンに向けた具体的な施策を立てられるよう進めていきます。運賃やルートの条件なども考慮して、分析して、吟味するといった段階を経ることで、物流のコストダウンに繋げられると考えています。
― Sharing Innovationsに期待する事があれば、教えて下さい。
(平井様)今後さらにロジスティクスCRMを拡張展開し、社内外の多くのステークホルダーとつながる基盤へと進化させたいと考えています。特に輸送業者は大事なパートナーでありステークホルダーでもあるので、彼らとCRM上でつながることで、真の物流の最適化が実現できると思っています。その際にはSharing Innovationsの持っている知見やノウハウを基に、よりよいご提案をいただければと思います。
(SI)ご協力ありがとうございました。期待に添える様、しっかりとサポートしてまいります。
Sharing Innovationsでは、最新のDX事情やデータ活用に役立つ記事も公開しています。
まとめ
YKK AP様に限らず、社内には非構造化データが散在している企業は多いのではないでしょうか?社内のデータを一箇所で集約できるデータ基盤を構築し、そしてその後活用できるインフラが多くの企業で求められています。データが一元管理化することで、欲しい情報を、必要な時に、誰でも閲覧できる「情報の標準化」が可能になります。 企業に眠るデータは、学べること、気づくことそして企業の成長や改善に大きく役立てられる情報が得られる資産とも言えます。Sharing Innovationsでは、データ基盤の構築から、データの可視化、AIを用いたデータの活用や、それらのコンサルテーションも行なっております。
お客様情報

YKK AP株式会社 (英語名:YKK AP Inc. )
事業内容 | 住宅用商品、ビル用商品、アルミ形材、建材加工用機械、建材部品 等の設計、製造、施工および販売 |
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設立 | 1957年7月22日 |
従業員数 | グループ従業員数 18,252名 2025年3月末現在 |
ホームページ | https://www.ykkap.co.jp/ |